私も以前は喫煙者でした。でも妊娠悪阻ですぐにタバコのニオイがだめになり、その勢いで簡単にやめることができました。
でも中には私の友人達のように、妊娠中もどうしても吸いたくなる人達も結構いますよね。そこで妊娠中の喫煙について調べてみました。
《結論》
妊娠中のタバコは、基本的にはアウトです。
妊娠中の喫煙は、母体及び胎児に悪影響を与える可能性があるため、日本のみならず、WHO(World Health Organization)が妊娠中は喫煙しないよう(また副流煙に関するリスク喚起についても)全世界に呼びかけています。
「妊娠中、1日1本でも喫煙すると胎児に影響を与えるのか?」や、「一日に何本以上吸うと悪影響がでるのか?」というような事は、実際に妊婦さんに実験してもらう訳にもいかず、明らかになっていません。
また、喫煙はお酒よりも依存性が非常に高い事が問題です。お酒は、アルコール中毒でもない限り、妊娠中でも毎日相当量を飲まなければ中毒症状がでるという様なことはないと思いますが、喫煙に関しては、1日に数本しか吸わない方でも、ニコチン依存症になっている可能性があります。お酒でも、麻薬でも、タバコでも、「依存症」になっている場合、一度禁止したところでまた少しでも再開すると、一気に元の習慣に戻ってしまうことが多々あります。その危険性を考慮すると、妊娠中は完全禁煙するのが一番望ましいです。
妊娠中の喫煙に関する「リスク」及び「禁煙方法」に関しては以下を参照して下さい。
(*因みに余談ですがEdgymamaも元喫煙者です。現在も妊娠を機に禁煙しています。以下の禁煙方法では、私の体験談も参考として織り交ぜています。)
私の周りの元喫煙者で妊娠した人たちの多くが、つわりを機にタバコが嫌になり、そのまま自然に禁煙しています。ただし、つわりがなかった方やつわりがあってもタバコは嫌にならなかった方は、タバコが吸いたいという欲求を止めることは難しいでしょう。喫煙者の方の中には「妊娠中に喫煙が良くないなんて事はよく分かっている。でも何をしても、どうしても辞められない」という方もいると思います。
そういう方は、「妊娠発覚から出来るだけ早い時期に、出来るだけ本数を減らす」努力をして下さい。なぜなら、胎児に影響を与える可能性やその度合いは、喫煙本数及び妊娠月数に比例している事が分かっているからです(1994年に発表されたE Lieberman先生の研究結果による)。つまり、本数は出来る限り少ないほうが胎児に与える影響も少なくなり、また禁煙をするのも、喫煙本数を減らすもの、出来るだけ早く始めた方が胎児への影響を最小限に抑えられることが分かっています。同研究によると、妊娠16週目までに禁煙できた妊婦さんの赤ちゃん全員が、一切喫煙をしなかった妊婦さんの赤ちゃんと同じ健康状態で産まれてきたそうです。
何本までなら胎児に影響を与えないというのは分かっていませんが、どんな禁煙方法を試してもどうしてもタバコが辞められないという方は、1日あたり5本以上は喫煙しないよう努力してみて下さい。(*この数字はあくまでEdgymamaが様々な研究結果を読んだ上で言っている個人的見解です。医学界ではあくまでも完全禁煙するよう推奨されています。)
《リスク》
タバコは4000以上の様々な化学物質が含まれていますが、その中でもニコチンと一酸化炭素が妊娠中もっとも危険な化学物質です。ニコチンは血管を収縮することにより、赤ちゃんに胎盤を通じて送られている酸素の量を減らします。また、一酸化炭素が血中に含まれることにより、妊婦さんの赤血球が酸素ではなく、一酸化炭素を送るようになるため、赤ちゃんに送られる酸素がますます少なくなります。私たち大人が、急に酸素を減らされたらどうなるでしょうか?標高の高い山でマラソンする様な感じです。妊婦さんがタバコを1本吸うごとに、お腹の中の赤ちゃんは酸素がなくて苦しんでいるでしょう。また、酸素がうまく行き届かないことが、赤ちゃんの正常な成長を妨害します。
それだけではなく、妊娠中の喫煙は以下の様なリスクをもたらします。
●胎盤早期剥離(子宮体部に付着した胎盤が娩出前に子宮壁から剥離する病態)・・・非喫煙者に比べ、リスクは約2倍高くなります
●前置胎盤(胎盤が出産に悪影響のある位置に定着するハイリスク妊娠)・・・非喫煙者に比べ、リスクは約2倍高くなります
●死産・・・・非喫煙者に比べ、リスクは1.8~2.8倍高くなります
●早産・・・非喫煙者に比べ、リスクは1.5倍高くなります
●低体重児出産・・・非喫煙者に比べ、リスクは1.5~4倍高くなります
●乳幼児突然死症候群・・・非喫煙者に比べ、リスクは3~4倍高くなります
●臓器の先天障害・・・非喫煙者に比べ、赤ちゃんの肺や心臓に先天障害が起こりうるリスクは2割から~7割高くなります
日本では厚生労働省からも、妊娠中の喫煙に対する(受動喫煙も含め)注意喚起がでています。
参考:厚生労働省より、”たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう”
《禁煙方法》
妊娠中におススメな禁煙方法を二つご紹介します。
今までに禁煙を試みて何度も失敗している方は方法2を試してみて下さい。今度はご自分だけでなく、赤ちゃんの命もかかっていると思って、まずは本気で禁煙をしてみて下さい!
(方法1)「この日に辞める」と決めて、自力で辞める
この方法は一番手軽に始められる一方、依存症の強い方はなかなか難しいです。でも、まずは試してみて下さい!Edgymamaもこの方法で辞めているので、個人的なアドバイスも混ぜて記載します。
ステップ1) まずはなぜ禁煙するのか、禁煙しなかったらどうなるのか、ノートに書き出すこと。目的を明確にしていつでも見れるようにし、「絶対に禁煙する」、「絶対に禁煙できる!」と固く誓いましょう。その上で、いつ辞めるのか、日にちを決めます。出来るだけ早く辞めるのには越したことがないですが、依存症の強い方、また一日の本数が多い方は、目標の日にちに向けて本数を減らしながら行うのもいいと思います。その場合は、例えば最初の1週間は普段の半分の量、2週目はまたその半分、3週目は完全禁煙等、細かい計画も立てて下さい。禁煙する日が来たら、今まで使用していたタバコ、ライター、灰皿、タスポ、ぜーっんぶ一気に破棄しましょう。また、一気に禁煙する方も、少しづつ禁煙する方も、1週間ごとに、ご自分にご褒美を設けて下さい。赤ちゃんのためにそんだけ頑張っている自分、ほめてあげることも大切です。計画通り禁煙できていたら、1週間に1回好きなものを食べに行く、また、ご主人に全身マッサージしてもらう等、他人を巻き込んだご褒美も効果があります。
目標設定の例: 「大切な赤ちゃんを死産や早産させたくない。赤ちゃんに自分のせいで障害を与えることはできないから、絶対に禁煙する!」 「1日1箱吸っているタバコをこれから2週間かけて数を減らし、○月○日から完全禁煙する!」、「その目標ができていたら、大好きな●●●屋のケーキを食べる♡」等
ステップ2) 周りに協力を依頼する。ご主人が喫煙者であれば、ご主人にも禁煙をお願いして下さい。近くに喫煙者がいると禁煙するのは非常に難しい上、妊婦さんが喫煙していなくても、ご主人の吸っているタバコの煙で十分胎児に悪影響を与える可能性があるからです。一緒に赤ちゃんを産んで育てると決めたお二人であれば、「二人で協力して辞めよう」と約束して下さい。もし相手が拒否した場合は、せめて家に帰ってきたら禁煙してもらう等落としどころをみつけましょう。それでも相手が納得しない場合は、ご自分のご両親、又は相手側のご両親にそのことを相談してみましょう(*因みに赤ちゃんの命に係わることに協力できない相手であれば、今後一緒に子育てすること自体考え直した方がいいかもしれません)。また、ご主人だけでなく、会社の近しい同僚や仲のいい友人にも妊娠したことを伝え、禁煙したいので協力してほしいと伝えましょう。一緒にタバコに行こうと誘わないこと、一緒にいる時はタバコを吸わないで欲しいこと、この日に辞めるという日以降はご自身がタバコを吸いたいといっても「ダメ」と叱ってもらうようお願いしましょう。 タバコは依存性があるため、自分ひとりで辞めるのは非常に難しいです。他の方にも協力してもらい、無理やり自分を追い込むことによって、その成功率は確実にアップします。
ステップ3)「禁煙セラピー」という本を読む。これはEdgymamaの個人的なおススメですが、私にも、私の友人にも、効果がありました!禁煙をしながらこれを読むと、この本がある意味自分のパーソナルトレーナー的な存在になり、「ああ、吸いたいな。。吸っちゃおうかな。。」と心が揺れた時にも、「ダメだ」と止めてくれる感じです。まだ試したことのない方は、ぜひ読みながら禁煙してみて下さい。
ステップ4)禁煙に必要なツールを取り入れる。喫煙者の人でよく、「癖で辞められない」、「手持ちぶたさで辞められない」という人がいます。そういう方は、口さみしい、物足りないとの理由で禁煙が難しいということもあります。なので、「フリスク」や「ミンティア」、飴、「シゲキックス」等、手持ちぶたさや口さみしさを紛らわすものを常に用意して下さい(ミント味や酸っぱいものなど、刺激のある味の方が気が紛れます)。思い切って箱買いして、禁煙への心を固めるのもいいと思います。そして口さみしさから食欲が増すこともありますが、これにはこまめな水分補給、及びヘルシーなおつまみを口にすることで対処して下さい(例えば、梅干しやこんぶ等の低カロリーおやつや、フルーツややさいをおやつにする等)。仕事中、どうしてもタバコが吸いたくてイライラしたら、とりあえず外にでて深呼吸、及びストレッチしましょう。気分転換で気を紛らわせることができます。しかし、もし近くに喫煙者がいた場合、息を止めてその場からすぐに逃げましょう。タバコは他に吸っている人がいるとすぐに誘惑されていまうので、できるだけタバコを避けるようにして下さい!
(方法2) お医者さんと、お薬を使って禁煙する。
妊娠中にタバコを吸うくらいなら、薬を使って禁煙をしたほうがまだましだと主張する専門家は多いです。ニコチンパッドやニコチンガムはニコチンを摂取してしまうには変わりがありませんが、一酸化炭素やそれ以外の4000にも及ぶ多様な化学物質を避けることはできます。また、お薬を使って例えば1,2か月後に禁煙をできるのであれば、ずるずると喫煙が辞められず10か月吸い続けるよりも、お腹の赤ちゃんにはずいぶんましだと思われます。現在では、ニコチンを含んでいないお薬も出ています。今までご自身の力では何をどうやっても禁煙できなかった方は、この機会に思い切ってお医者さんに相談しましょう。ただし、禁煙のためのお薬に関しても、ご自分で判断することはできないため、必ずお医者さんに処方してもらって下さい。お医者さんへのカウンセリングと、現代医療の力を借りて、赤ちゃんのために禁煙にトライして下さい
《参考》
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