妊娠中のお酒はアウト? 何杯までなら大丈夫?

著者はもともとほぼ毎日飲酒していたので、この題材は非常に気になっていて色々調べました。でも本当に情報が限られていて、情報収集に苦労しました。

特に、妊娠初期の妊娠に気づくまで毎日飲んでいたことや、妊娠中もたまーに飲みたくなったとき、答えが欲しかったです。

《結論》

妊娠中のお酒は基本的にアウトです。

妊娠中の飲酒が胎児に悪影響を及ぼすことが過去のリサーチより明らかになっているため、日本を始め、アメリカ、イギリス、ワインやビールが水のように飲まれているヨーロッパ諸国においても、妊娠中は「完全禁酒するよう」アドバイスされています。

日本では厚生労働省から妊娠中の飲酒及び喫煙は禁止するよう注意が出ています。 (http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-02h.pdf

しかーしですね、

たとえ1~2杯でもお酒を飲むと胎児に悪影響を及ぼすのかというと、過去の妊婦さん達の経験や私個人の経験により、そんなこともないとの意見もあります。

実際にイギリスでは、「基本は完全禁酒」を推奨しているものの、どうしてもお酒が飲みたい妊婦さんに向けて国として助言を示しており、「妊娠初期は避け、妊娠中期、または後期であれば、週に1回、もしくは2週間に1回程度の頻度で、1ユニット、若しくは2ユニット(1ユニットは10mlの純アルコールを指します。1ユニットはアルコール15%のグラスワイン80ml、若しくは缶ビール半分の量に匹敵します)の範囲までで飲むように」とアドバイスしています。

ちょっと面白いですよね。妊婦向けの飲酒アドバイス。笑

ただ、確実に「何杯までOK」というのは、実際に妊婦さんに実験してもらうこともできないため、明らかになっていません。

分かっていることは、妊娠中にお酒をたくさん、または継続的に飲むと「胎児の脳に障害を与える」等の影響があり、お酒を一切飲まなければ、そのリスクは完全に回避できるということです。

以下にお酒によって胎児に与えかねるリスクと、「何杯まで大丈夫か?」という質問に対する医学界での議論を掲載します。

考えうるリスクをきちんと理解した上で、ご自分の体と、お腹の赤ちゃんを考慮し、妊娠中にどういうスタンスをとるのか、ご自分で決断されればいいと思います。 

《リスク》

妊娠中にお酒を飲むと、それは胎盤を通過して赤ちゃんに届きます。赤ちゃんは大人のようにアルコールを分解することが出来ないため、高い濃度のアルコールが赤ちゃんの体内に残ります。

イギリスのナショナルヘルスサービス(NHS:http://www.nhs.uk)によると、妊娠してから最初の3か月は胎児に最も影響を与えやすく、流産や分娩を難航させる可能性があるそうです。また、最近の研究では、妊娠中の飲酒が原因で、未熟児や低体重児が産まれる可能性が高まるとも言われています。

(*因みに、EdgyMamaもそうですが、妊娠初期に妊娠に気づかづにお酒を飲んでしまったために、非常に心配される方がいらっしゃいますが、これは日本での産婦人科にも確認したところ、もし赤ちゃんがそこまで影響を受けている場合は流産してしまっている可能性が高く、もしくは低体重等で産まれてくる可能性はあるが、その後も継続的に摂取しなければ胎児の発達に障害を与えている可能性は非常に低い、とのことでした。Edgymamaはその後スーパー健康な赤ちゃんを出産しています)

また妊娠中期以降もアルコールを摂取し続けることにより、赤ちゃんに学習障害や多動症等の行動障害の影響を与える可能性があると指摘しています。

妊娠中にアルコールを過剰摂取した場合、もしくは継続的に一定量以上のアルコールを摂取し続けた場合、赤ちゃんに「胎児性アルコール症候群(FAS)」という障害をもたらすことが分かっています(*過去の研究では、ビール350ml缶6本、または175mlのグラスワイン4杯に匹敵する量のアルコールを毎日飲み続けた妊婦さんから産まれた赤ちゃんのうち、約半分にFASの症状が見られたと報告されています)。

胎児性アルコール症候群は、赤ちゃんに以下のような障害をもたらします。

●発達障害

●学習障害

●精神障害

●神経障害

●行動障害

●臓器障害

児性アルコール症候群特有の顔立ち

*まぶたが完全に開ききらない、鼻が低い、鼻の下が長い、上唇が薄くなる、あごが小さい等 (以下参照)

https://en.wikipedia.org/wiki/Fetal_alcohol_spectrum_disorder#/media/File:Photo_of_baby_with_FAS.jpg

 

《議論》

さて、「妊娠中、お酒はどれだけ飲んでも大丈夫なのか?」、もしくは「どれだけ飲むと胎児に影響を与えるのか?」という題材は、世界中で過去何十年にも及び議論されており、膨大な量の研究結果が発表されていますが、未だに明確な答えは明らかになっていません。

ここに、上記題材に関する最近の研究結果を、参考としていくつか掲載します。これらの研究結果及び上記のリスクを参考にした上で、みなさんがどういうスタンスをとられるか、ご自身で決めて下さい。(この題材に関する研究は毎年各国から多くの発表がでているため、すべてを載せるのは不可能です。以下に掲載しているのはあくまで研究結果のごく一部だとのご理解の上、参考にして下さい)

1) 2013年にイギリスで発表されたロンドン大学の研究によると、11513人の妊婦さんとその子供が5歳になった頃の子供の発達状況を調べたところ、妊婦さんのうち5人に1人が妊娠中にアルコールを週に1、2ユニット(ワイングラス1杯程度)程摂取していたそうですが、そのお母さんの元に産まれた子供達と、アルコールを全く摂取していなかったお母さんの元に産まれた子供達との間に、精神的、行動的、また認識能力に関わる違いはみられなかったそうです。

2) 2014年3月にイギリスのBritish Medical Journalで発表された調査結果によると、1303人のお母さんにインタビューした結果、妊娠初期の3か月にお母さんがアルコールを摂取していた場合、赤ちゃんが低体重で生まれる可能性や、未熟児で生まれてくる可能性が高くなったそうです。また、妊娠初期にイギリスの妊婦に対するアルコール摂取基準である週に1,2ユニットよりも多いアルコールを飲んだお母さんの子供は、そうでないお母さんの子供に比べて、低体重や未熟で生まれてくる可能性が2倍だったそうです

3) 2012年9月にコペンハーゲン大学より発表された研究結果によると、2003年から2008年にかけて1628人のお母さんと子どもをフォローローし、子供が5歳になった時に知力や集中力等のテストをしたところ、妊娠中に週に何度か飲むことは、その後の胎児に特に影響を与えない可能性があると言っています

4)2013年3月に発表されたアメリカのカリフォルニア州リバーサイド大学の研究チームによると、妊娠中にアルコールを摂取すると、胎児の思考回路に障害をもたらす可能性があると発表しました。実験は人間ではなくラット(ねずみ)を使って行われたそうですが、妊娠中に摂取したアルコールによって、胎児の遺伝子発現や高レベルな思考、認識、視覚等を司る大脳新皮質に異常をきたすことが分かったそうです

《参考》

http://www.nhs.uk/conditions/pregnancy-and-baby/pages/alcohol-medicines-drugs-pregnant.aspx#close

http://www.drinkaware.co.uk/check-the-facts/health-effects-of-alcohol/fertility-and-pregnancy/alcohol-and-pregnancy#governmentadvice

“Prenatal alcohol exposure and childhood balance ability: findings from a UK birth cohort study”
Rachel Humphriss, Amanda Hall, Margaret May, Luisa Zuccolo, John Macleod
BMJ Open 2013;3:e002718 doi:10.1136/bmjopen-2013-002718

Maternal alcohol intake prior to and during pregnancy and risk of adverse birth outcomes: evidence from a British cohort  http://jech.bmj.com/content/early/2014/02/11/jech-2013-202934.full

Light drinking versus abstinence in pregnancy – behavioural and cognitive outcomes in 7-year-old children: a longitudinal cohort study.  Kelly Y1, Iacovou M, Quigley MA, Gray R, Wolke D, Kelly J, Sacker A.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23590126

C. Nykjaer, N. A. Alwan, D. C. Greenwood, N. A. B. Simpson, A. W. M. Hay, K. L. M. White, J. E. Cade. Maternal alcohol intake prior to and during pregnancy and risk of adverse birth outcomes: evidence from a British cohort. Journal of Epidemiology & Community Health, 2014; DOI: 10.1136/jech-2013-202934

From British Medical Journal
http://jech.bmj.com/content/68/6/542 http://www.sciencedaily.com/releases/2014/03/140310210632.htm
 

Journal of Epidemiology and Community Health. http://www.nhs.uk/news/2010/10October/Pages/light-drinking-in-pregnancy.aspx

The effect of different alcohol drinking patterns in early to mid pregnancy on the child’s intelligence, attention, and executive function  http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1471-0528.2012.03393.x/abstract;jsessionid=65F59727B70DDDAD7530A4E348CBF9AF.f02t01

H. El Shawa, C. W. Abbott, K. J. Huffman. Prenatal Ethanol Exposure Disrupts Intraneocortical Circuitry, Cortical Gene Expression, and Behavior in a Mouse Model of FASD. Journal of Neuroscience, 2013; 33 (48): 18893 DOI:10.1523/JNEUROSCI.3721-13.2013

what’s going on in there?  by Lise Eliot Phd, 1999 : Pg53-55
 

http://www.nhs.uk/news/2010/10October/Pages/light-drinking-in-pregnancy.aspx

http://americanpregnancy.org/pregnancyhealth/alcohol.html

 

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